日本集中治療医学会雑誌
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原 著
COVID-19患者に対するECMO管理中の出血性合併症とThromboelastographyの関連:単施設後方視研究
山﨑 慎太郎城尾 和司山内 和也鳩本 広樹秋吉 浩三郎星野 耕大仲村 佳彦石倉 宏恭
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2023 年 30 巻 2 号 p. 113-119

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抄録

【はじめに】 Extracorporeal membrane oxygenation (ECMO)中の抗凝固療法に血液粘弾性検査を行うことで出血性合併症の発生を抑えられることが報告されている。今回我々は,ECMO中の出血とトロンボエラストグラム(thromboelastogram, TEG)の関連を調査した。【方法】対象は,2020年4月〜2021年2月の間に当院ECMOセンターでveno venous ECMOを導入した重症COVID-19患者18名における226回のTEG測定日とした。出血を認めた日を「出血あり」と定義した。未分画ヘパリン(unfractionated heparin, UFH)投与量,血液学的所見,TEGの測定結果と出血リスクの関連を検討した。【結果】除外項目に合致した測定を除き,167回の測定日で検討を行った。出血は17回認め,ΔCK-R.CKH-Rは有意な判別能を認めた(OR 1.03,95%CI 1.01〜1.05,P<0.01)。ΔCK-R.CKH-Rの曲線下面積(area under the curve, AUC)では0.66であり,optimal cutoff valueは67.2 min(感度:0.35, 特異度:0.96)であった。【結語】本研究より,抗凝固薬にUFHを用いた重症COVID-19患者に対するECMO管理において,ΔCK-R.CKH-Rと出血リスクが関連する可能性が明らかになった。しかし,UFH以外の出血素因の影響など,今後さらなる検討が必要である。

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© 2023 日本集中治療医学会
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