日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
30 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
編集委員会より
今号のハイライト
原 著
  • 山﨑 慎太郎, 城尾 和司, 山内 和也, 鳩本 広樹, 秋吉 浩三郎, 星野 耕大, 仲村 佳彦, 石倉 宏恭
    2023 年30 巻2 号 p. 113-119
    発行日: 2023/03/01
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー

    【はじめに】 Extracorporeal membrane oxygenation (ECMO)中の抗凝固療法に血液粘弾性検査を行うことで出血性合併症の発生を抑えられることが報告されている。今回我々は,ECMO中の出血とトロンボエラストグラム(thromboelastogram, TEG)の関連を調査した。【方法】対象は,2020年4月〜2021年2月の間に当院ECMOセンターでveno venous ECMOを導入した重症COVID-19患者18名における226回のTEG測定日とした。出血を認めた日を「出血あり」と定義した。未分画ヘパリン(unfractionated heparin, UFH)投与量,血液学的所見,TEGの測定結果と出血リスクの関連を検討した。【結果】除外項目に合致した測定を除き,167回の測定日で検討を行った。出血は17回認め,ΔCK-R.CKH-Rは有意な判別能を認めた(OR 1.03,95%CI 1.01〜1.05,P<0.01)。ΔCK-R.CKH-Rの曲線下面積(area under the curve, AUC)では0.66であり,optimal cutoff valueは67.2 min(感度:0.35, 特異度:0.96)であった。【結語】本研究より,抗凝固薬にUFHを用いた重症COVID-19患者に対するECMO管理において,ΔCK-R.CKH-Rと出血リスクが関連する可能性が明らかになった。しかし,UFH以外の出血素因の影響など,今後さらなる検討が必要である。

症例報告
  • 矢嶋 尚生, 鮫島 雄祐, 松島 純也, 坪内 陽平, 金指 秀明, 櫻井 馨士, 長島 義宣, 秋枝 一基
    原稿種別: 症例報告
    2023 年30 巻2 号 p. 121-125
    発行日: 2023/03/01
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー

    甲状腺クリーゼの誘引として感染や虚血性心疾患などが知られている。甲状腺クリーゼの背景にある甲状腺中毒症の原因にはバセドウ病が多いが,無自覚・未診断のバセドウ病も存在する。近年,コロナワクチン接種後にバセドウ病を発症したという報告が増えている。今回我々は,新型コロナワクチン初回接種後に甲状腺クリーゼを発症した患者がその後バセドウ病と診断された症例を経験した。症例は既往のない67歳男性で,新型コロナワクチン接種後の翌朝に発症した倦怠感と呼吸困難により救急要請した。心電図検査,心臓カテーテル検査で虚血による急性心不全と診断され,治療後にICUへ入室した。来院時より頻脈が継続し,入院後に発熱も認めたため,甲状腺ホルモンなどを調べたところ,甲状腺クリーゼおよびバセドウ病と診断された。甲状腺クリーゼは,急病や外傷だけによらず,ワクチン接種後にも発症することがある。

短 報
feedback
Top