下気道検体からのカンジダ検出は、肺炎と定着の鑑別が難しく,確定診断には侵襲性の高い肺生検が必要となる。今回我々は発熱性好中球減少症の患者に対して,画像所見および組織培養結果から臨床的にカンジダ肺炎と診断したが,致死的な経過をたどり救命できなかった症例を報告する。症例は72歳,男性。中咽頭癌の診断で化学療法が行われ,入院13日目に発熱性好中球減少症を合併し入院16日目に血圧が低下したためICUへ入室した。CTでカンジダ肺炎に特徴的な所見を認め,痰培養や気管支肺胞洗浄液からはCandida albicansのみ検出された。定着との鑑別のために経気管支肺生検による組織培養と病理細胞診で診断したが,致死的な経過をたどり入院39日目に死亡した。免疫不全患者にカンジダ肺炎に特徴的な画像所見があり,下気道検体から繰り返しカンジダが検出される場合は,可能な限り他疾患を除外した上でカンジダ肺炎を治療対象とすることも検討され得ると考える。