日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
COVID-19後に発症したnew-onset refractory status epilepticusに対して,ケトン食療法を導入した1例
髙野 隼宇佐美 健喜有野 聡佐々木 庸郎小島 直樹稲川 博司岡田 保誠佐久 早織
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2025 年 32 巻 論文ID: 32_R5

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抄録

New-onset refractory status epilepticus(NORSE)は,てんかんの既往のない者が突然発症する難治性てんかん重積状態とされる。それに対して,米国てんかん学会においてketogenic diet(KD)の考慮が推奨されている。今回,人工呼吸管理下にKDを導入し,良好な転帰を得たNORSEの1例を経験した。症例は大きな既往のない27歳,男性。COVID-19罹患後に難治性てんかん重積状態となり,NORSEと診断した。多剤抗痙攣薬投与と全身麻酔を導入したが発作のコントロールが不良であった。ステロイド,免疫グロブリンの投与を行ったが発作のコントロールが不良で,KDを導入した。本邦では,経管栄養で使用可能な成人用のKD製剤が存在しないため,独自のKDを作製し投与した。長期の集中治療管理が必要であったが,次第に発作のコントロールがつき,良好な転帰を得た。成人の難治性てんかん重積状態に対するKDの有効性は小児ほど確定してはいないが,有効性と安全性を強調する報告は増えつつある。管理に難渋する成人のNORSE症例にもKDを考慮してもよいかもしれない。

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