ホルネル症候群は様々な要因で発症することが報告されているが,胸骨正中切開術後の合併症としてあまり認識されていない。今回我々は,術前から発汗過多があり,術後にホルネル症候群と診断し得た症例を経験した。その経験を契機とし,胸骨正中切開術後のホルネル症候群を3年間で5症例経験した。腕神経叢障害も胸骨正中切開術後の合併症である。上位肋骨骨折を来すような強い外力が加わらないよう開胸器を使用することで,どちらの合併症も減じ得る可能性がある。医療者は胸骨正中切開術後の合併症として,ホルネル症候群を認識しておく必要がある。