抄録
著者らは,すでにバルビツレート療法にポルフィリン尿症を合併した症例を経験し,報告したが,本研究では,本療法中に経時的に尿中ポルフィリン体を測定し,本療法の合併症としてのポルフィリン尿症の存在を確認した。対象は過去4年間に中枢性疾患で入院し,バルビツレート療法を施行した9例である。バルビツレート療法は,サイアミラルを持続静注で使用し,1~5mg・kg-1・hr-1で投与した。投与期間は平均8.6日間で,総投与量は平均667.4mg・kg-1であった。ポルフィリン尿症合併例は3例(33.3%)で,コプロポルフィリン異常高値3例,ウロポルフィリン異常高値2例,ポルフォビリノーゲン異常高値1例であった。ポルフィリン尿症合併例は,バルビツレートの投与期間が長く,総投与量が多い傾向にあった。また3例全例で,肝機能障害を合併していた。今回の検討で,バルビツレート療法の合併症の1つとして,ポルフィリン尿症も念頭におく必要があると思われる。