日本集中治療医学会雑誌
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MAP加赤血球濃厚液中の好中球エラスターゼ・α1-アンチトリプシン複合体の経時的変化
MAP-CRC中の好中球エラスターゼの変化
梅垣 修相引 眞幸小栗 顕二
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1994 年 1 巻 2 号 p. 95-99

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抄録
【対象および方法】健康成人7名から全血を採血し,日本赤十字社により新しく開発された血液保存液であるMAP液を用いた赤血球濃厚液(MAP-CRC)と従来の血液保存液であるCPD液を用いた赤血球濃厚液(CPD-CRC)を作製し,それぞれの中での好中球エラスターゼ・α1-アンチトリプシン複合体(EAC)の経時的変化を測定し,白血球数の経時的変化との関係を検討した。【結果および結論】CPD-CRC中のEACは,採血後7日目から急激に増加し始めるのに対し,MAP-CRC中のEACは,CPD-CRCより遅れて,作製後14日目から増加しはじめた。さらに,MAP-CRC中のEACは,全経過においてCPD-CRC中のEACよりも低値を示した。白血球数はMAP-CRC中では,CPD-CRC中よりも緩徐に減少した。以上の結果より,MAP-CRCは,CPD-CRCよりもEACの増加は低く抑えられた。その理由として,MAP-CRCがCPD-CRCに比し,製造過程での白血球除去率が高いことおよび保存中における白血球崩壊速度が遅いことが考えられる。
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