日本集中治療医学会雑誌
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高度肝機能障害を合併した急性劇症型心筋炎の1症例
横田 喜美夫角南 浩史藤井 智子鳥海 岳左利 厚生
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2003 年 10 巻 1 号 p. 39-42

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抄録

患者(43歳男性)は前医で完全房室ブロックに陥り一時心室ペーシング作働下に本院へ搬送された。心エコー図では左室駆出分画は0.28で,カテコラミン投与下で心係数は2.0l・min-1・m-2であった。血液生化学検査では,ALT9,350IU・l-1,動脈血中ケトン体比0.61,ヘパプラスチンテスト27%と高度肝機能障害を認めた。入院12時間後心係数が1.7l・min-1・m-2へ低下したので経皮的心肺補助法と大動脈内バルーンパンピング法を導入した。ICU入室後気管挿管し,持続血液濾過透析と4回の血漿交換を行った。第5病日経皮的心肺補助法を中止し,第7病日大動脈内バルーンパンピング法を中止後抜管し,患者は3ヵ月後に退院した。臨床所見と心筋生検所見から急性劇症型心筋炎と確定診断した。肝虚血が高度機能肝障害の原因であると推測する。肝機能が障害された急性劇症型心筋炎患者では経皮的心肺補助法を中心とした各種の臓器機能補助装置を早期に導入することが救命に重要である。

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