日本集中治療医学会雑誌
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10 巻, 1 号
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  • stewart approach
    森松 博史, 内野 滋彦
    2003 年 10 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    1983年にPeter A. Stewartが提唱した酸塩基平衡に関する新しいアプローチは近年さまざまな分野に応用され始めている。彼のコンセプトのなかでは,(1)水素イオンは水の電離状態によって容易に変化し,(2)これを決定するのはPaCO2, strong ion difference (SID), total weak acidの3つである。水素イオンや重炭酸イオンはこれら3つの因子のバランスによって決定される。アルブミンは酸性化因子として働き,塩素イオンはSIDを変化させることにより酸塩基平衡に重要な役割を果たす。このアプローチを用いることにより,これまで理解が困難であった生理食塩水による代謝性アシドーシスや人工心肺中のアシドーシスがより容易にまた正確に理解できる。Stewart approachによりわれわれの酸塩基平衡に対する理解が深まると信じる。
  • 完成版CNS-FACEの作成プロセス
    山勢 博彰, 山勢 善江, CNS-FACE開発プロジェクトメンバー
    2003 年 10 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,日本で標準的に活用できる重症・救急患者家族のアセスメントツールであるCNS-FACE (Coping & Needs Scale for Family Assessment in Critical and Emergency Care Settings)開発プロジェクトの一環として実施したものである。研究目的は,暫定版CNS-FACEを基に,完成版のCNS-FACEを作成することである。方法は,9つの大学附属病院および公立病院の救命救急センター,ICU・CCUなどに入院した248名の患者の家族274名を対象に,53項目の行動評定尺度で構成される暫定版CNS-FACEを用いて収集したデータを分析した。分析手法は,各項目に対する反応分布の評価,ニードとコーピングの探索的因子分析,multitrait scaling analysis, G-P analysis,確認的因子分析を行った。これらにより,ニードとコーピングに構成概念妥当性がある46項目の行動評定尺度で構成される完成版CNS-FACEを作成した。
  • 石山 泰三, 高田 佳史, 田中 信大, 進藤 直久, 武井 康悦, 山科 章, 池田 克介, 平山 哲三
    2003 年 10 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    稀な損傷形態を認めた外傷性大動脈弁閉鎖不全症の1例を報告する。53歳男性。生来健康。交通事故にて全身を強打し,多発外傷のため当院に緊急入院となる。入院経過中に心拡大および拡張期逆流性雑音を認めた。第18病日の心エコー図検査にて高度な大動脈弁逆流を認めた。心疾患の既往がないこと,弁尖に疣贅がないこと,胸部造影CTにて大動脈の拡大や解離を認めないことから,外傷性大動脈弁閉鎖不全症と診断した。第119病日に大動脈弁置換術を施行した。手術所見では大動脈弁尖に損傷はなく,無冠尖-左冠尖間の交連部の剥離を認めるのみであった。術後経過は良好で,第140病日に独歩退院した。本症例の損傷機転として,前胸部強打による大動脈弁輪の変形により無冠尖が引き伸ばされ,そこに急激に上昇した大動脈圧の負荷がかかり,左冠尖との交連部が大動脈壁より剥離したものと推測された。外傷による大動脈弁単独損傷は,わが国でも過去に22例と少ないが,さらに本例は既報の例にない特殊な損傷形態を呈した稀な症例であった。
  • 和田 徹, 小山 薫, 福山 達也, 清水 昌宏, 早瀬 裕子, 宮尾 秀樹
    2003 年 10 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    重症喘息発作においては初期の集約的治療が重要である。今回,β刺激薬吸入,ステロイドなどに反応せずICUに入室し,イソプロテレノール点滴静注・マグネシウム併用により気管挿管することなく管理しえた2症例を経験した。イソプロテレノール最大投与速度は症例1,2でそれぞれ0.16,0.36μg・kg-1・min-1,また最高血中イオン化マグネシウム濃度はそれぞれ0.48,0.83mmol・l-1であった。イソプロテレノール投与に伴う心筋虚血症状,マグネシウム投与に伴う筋力低下などの副作用は認められなかった。静注可能なβ刺激薬であるイソプロテレノールと,β作用を増強し,かつ心筋保護作用を有するマグネシウムの併用は,重症喘息症例において有用な治療法になりうると思われた。
  • 早川 峰司, 丸藤 哲, 鹿野 恒, 山崎 圭, 佐藤 朝之, 亀上 隆, 森本 裕二, 松原 泉
    2003 年 10 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    腎移植後の免疫抑制薬投与中のcornpromised hostに発生したアザチオプリン(azathioprine,AZ)によると考えられる間質性肺炎を経験した。患者は腎移植後であり,AZなどの免疫抑制薬を投与されていた。移植から9ヵ月経過した頃より,発熱と咳嗽が出現し,その1週間後に当院入院となった。胸部CTなどで軽度の間質性肺炎を認めた。日和見感染による間質性肺炎を疑い,各種感染症に対する治療も開始したが反応せず,入院から4週後に死亡した。AZの総投与量は15,750mgであった。剖検にて,肺は間質性肺炎の像を示していたが感染を示唆する所見はなかった。原因は確定できなかったが,AZが最も疑われた。AZの投与を受けている患者はcompromised hostであり,日和見感染による間質性肺炎にも注意が必要であるが,AZによる間質性肺炎も鑑別疾患の一つとして重要である。
  • 石川 雅巳, 安保 佳苗, 鈴木 理恵, 難波 亜紀子, 川西 進, 東 龍哉, 宮崎 峰生, 光畑 直喜
    2003 年 10 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    血液型O型Rh(+)の52歳の女性に対し,AB型Rh(+)の夫からのABO不適合生体腎移植術を行った。術前に抗A,抗B抗体除去目的で3回の全血漿交換(plasma exchange, PE)を施行した。手術直前の血漿抗A IgG/IgM抗体価は×1/×16で,抗B IgG/IgM抗体価は×1/×4であった。免疫抑制薬はタクロリムス,メチルプレドニゾロン,デオキシスパーガリン,抗ヒトリンパ球抗体,ミコフェノール酸モフェチールの5剤併用とした。手術直後の腎機能は良好であったが,術後1日目,尿量が減少した。血管型の拒絶と診断し,抗A,抗B抗体を除去するためにPEを施行した。計8回のPEを施行し血管型の拒絶を治癒しえた。経過中,抗A,抗B抗体価の上昇はみられなかった。血管型の拒絶がみられた場合には,PEを積極的に施行すべきと考えた。
  • 横田 喜美夫, 角南 浩史, 藤井 智子, 鳥海 岳, 左利 厚生
    2003 年 10 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    患者(43歳男性)は前医で完全房室ブロックに陥り一時心室ペーシング作働下に本院へ搬送された。心エコー図では左室駆出分画は0.28で,カテコラミン投与下で心係数は2.0l・min-1・m-2であった。血液生化学検査では,ALT9,350IU・l-1,動脈血中ケトン体比0.61,ヘパプラスチンテスト27%と高度肝機能障害を認めた。入院12時間後心係数が1.7l・min-1・m-2へ低下したので経皮的心肺補助法と大動脈内バルーンパンピング法を導入した。ICU入室後気管挿管し,持続血液濾過透析と4回の血漿交換を行った。第5病日経皮的心肺補助法を中止し,第7病日大動脈内バルーンパンピング法を中止後抜管し,患者は3ヵ月後に退院した。臨床所見と心筋生検所見から急性劇症型心筋炎と確定診断した。肝虚血が高度機能肝障害の原因であると推測する。肝機能が障害された急性劇症型心筋炎患者では経皮的心肺補助法を中心とした各種の臓器機能補助装置を早期に導入することが救命に重要である。
  • 高田 正史, 寺尾 嘉彰, 金出 政人, 都 正彦, 福崎 誠, 澄川 耕二
    2003 年 10 巻 1 号 p. 43-44
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 酒井 宏明, 遠山 貴之, 蕨 謙吾, 菊地 利浩, 岡崎 敦, 諸橋 達, 金子 和夫
    2003 年 10 巻 1 号 p. 45-46
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 奥 格, 大橋 一郎, 溝渕 知司, 長野 修, 五藤 恵次, 横山 正尚, 片山 浩, 森田 潔
    2003 年 10 巻 1 号 p. 47-48
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • インド西部地震への国際救援医療
    千代 孝夫
    2003 年 10 巻 1 号 p. 49-50
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 世界のクリティカルケアとの出会い
    池松 裕子
    2003 年 10 巻 1 号 p. 51
    発行日: 2003/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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