抄録
【背景】難治性心室細動にamiodaroneが有効との報告があるが本邦では注射用製剤が認可されていない。そのため唯一静脈内投与可能なIII群薬nifekalantの効果を院外心肺停止例において調べ,amiodaroneの代用として位置づけられるかどうかを検討した。【方法】2000年4月から2年間,当センターへ搬送された心原性心肺停止308症例のなかで,心肺蘇生中に心室細動を認めた80例をnifekalant使用群(N群)27例と非使用群(C群)53例に分けretorospectiveに検討した。【結果】N群は年齢が有意に若く,除細動回数が多かった。またN群で心拍再開率が高かったが予後に差はなかった。【結論】心拍再開にnifekalantが有効であった可能性が示唆された。本研究ではC群で心拍再開が得られないもののみがN群にエントリーすることから,N群の母集団がもともと予後不良群であると言える。それにもかかわらず心拍再開率が高かったことは,nifekalantは治療の選択肢の1つとなりうるが今後多施設での前向き研究を行う必要がある。