日本集中治療医学会雑誌
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敗血症性ショックに至るも救命しえたVibrio vulnificus感染症の1症例
大島 拓平澤 博之織田 成人志賀 英敏中西 加寿也松田 兼一仲村 将高横張 賢司
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2004 年 11 巻 2 号 p. 111-115

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抄録
我々はViblio vulnificus感染症による敗血症性ショックからの救命例を経験したので報告する。患者は53歳男性,アルコール性肝硬変を指摘されていた。2001年7月19日に刺身を摂取。21日に39℃の発熱,血圧90mmHg台,ショックになり近医に入院。入院後,昇圧剤を投与されるも血圧はさらに低下し,22日に当院ICUに転院となった。Viblio vulnificus感染症による敗血症性ショックを疑い抗生物質セフタジジム(CAZ),ミノサイクリン(MINO)投与,カテコラミン投与により循環管理を行い,CHDFを4日間施行した。前医の血液培養にてViblio vulnificusが検出されたが皮膚所見は認めなかった。感染は次第に鎮静化し,8月2日軽快転院となった。本症は肝障害などで免疫能が低下した患者に多く発生し,ショックに陥れば致死的となる。今回の症例は早期の診断とショックに対する集中治療により救命しえたものと考えられた。
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