日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
集中治療における鎮静
藤野 裕士
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 13 巻 1 号 p. 21-26

詳細
抄録
集中治療室で治療を受けている重症患者はしばしば痛みや不安,気管挿管による不快感などによるストレスを受けている。このような患者に鎮静薬,鎮痛薬を用いて鎮静することは単に人間的であるだけでなく,外傷後ストレス症候群(post-traumatic stress syndrome)の発生頻度を下げることにつながる。また痛み・不安による交感神経の緊張そのものが予後に悪影響を及ぼすこともあり得る。鎮静薬を選択するときは薬剤の血中半減期,代謝臓器,代謝産物などの薬物動態,副作用,費用などを考慮して総合的に判断することが望ましい。現在さまざまな麻酔薬,鎮静薬,鎮痛薬を集中治療患者の鎮静に用いることができるが,小児を含むすべての患者をカバーできる単一の鎮静薬は存在しない。新しい鎮静薬の登場もあり,今後も鎮静深度の評価法を含め,患者予後の面からの検討が望まれる。
著者関連情報
© 日本集中治療医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top