医療に関連して生じた事故を医療事故といい,過失によって生じた医療事故を医療過誤という。医事紛争になり,患者側が裁判を提起すると,医事裁判になる。わが国における医療事故や医事紛争の発生総数は不明であるが,年間1万2,000件程度の医事紛争が発生していると推測される。医療事故発生時には民事責任,刑事責任,行政処分の有無が法的責任として問われる。平成11年以降,医療事故による医師や医療従事者に対する刑事判決は70余件であったが,業務上過失致死傷罪のみ有罪となった事件では,罰金刑か禁鋼刑(執行猶予つき)であった。刑事事件で罰金刑以上の判決を受けると,医業停止とする行政処分を受けることになる。ICUに関連した判決は民事7事件9判決,刑事1件がみられた。医療事故防止のためのリスクマネジメントは「真の事故原因を究明し,事故防止のシステムを構築し,事故を減少させること」である。