日本集中治療医学会雑誌
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2相性のPEEPモードによる呼吸管理が効果的であった誤嚥性肺炎によるARDSの1例
佐藤 庸子二宮 真理恵斉藤 まり子佐藤 敏朗中垣 麻子野村 実尾崎 眞小谷 透
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2006 年 13 巻 3 号 p. 243-247

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抄録
2相性PEEP(biphasic positive airway pressure, BIPAP)モードが有効であったacute respiratory distress syndrome (ARDS)症例を経験した。症例は肺気腫合併の84歳男性で,胃全摘術後に誤嚥性肺炎による呼吸不全を発症した。圧制御式アシスト/コントロール(pressure controlled-assist/control, PC-A/C)で管理したところ一時的に改善したが,再度誤嚥からmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA)による敗血症性ショックを合併し,頻呼吸・二段呼吸・吃逆様運動等の不整な呼吸が出現して人工呼吸器との同調が困難となった。死腔換気率が70%を超えており,通常の換気様式では動脈血酸素分圧を60mmHg以上に維持できなかった。しかし,BIPAPモードだけは酸素化を維持でき3ヵ月後人工呼吸から離脱することができた。BIPAPは吸気相・呼気相ともに患者呼吸への同調性に優れており,不整な呼吸パターンに対しても肺胞換気量の増加およびalveolar recruitmentによる酸素化の改善をもたらしたことが成功の原因と推察した。
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