日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
食道亜全摘後早期抜管症例に対する気管支ファイバースコープを用いた呼吸管理
寺田 泰二新宮 興玉井 直長谷川 誠紀村川 雅洋荒井 俊之森 健次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 3 巻 1 号 p. 35-38

詳細
抄録

縦隔リンパ節郭清を伴う食道亜全摘術を施行した41例に対して,手術翌日の術後第1日目に気道粘膜に虚血性変化を認めず,FiO2が40%のCPAPかTピースでPaO2が100mmHg以上,かつPaCO2が45mmHg以下である時に気管内挿管チューブの抜管を施行した。その後は気管支ファイバースコープ(FBS)を用いて気道内分泌物の吸引を行う呼吸管理を行った。その結果,27例(66%)で術後第1日に抜管することができ,再挿管例は1例であった。喫煙者と非喫煙者の間に挿管期間に有意差は無かったが,FBSを必要とした日数は,喫煙者(4.1±2.2日;mean±SD)が非喫煙者(2.9±1.2日)に比べて有意に(p<0.05)長く,気管切開を施行した2例,挿管期間が4日以上の4例,FBSを術後5日以上必要とした12例(p<0.02)は全員喫煙者であった。FBSによる気道内分泌物の吸引を十分に行えば,術後第1日目での抜管は安全に行えるが,喫煙者は非喫煙者に比べて長期の呼吸管理が必要である。

著者関連情報
© 日本集中治療医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top