日本集中治療医学会雑誌
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3 巻 , 1 号
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  • 藤岡 博文, 中村 真潮, 中野 赳
    1996 年 3 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    急性肺血栓塞栓症は循環器救急疾患として位置づけられるようになってきたが,実際には更に軽症な症例が診断されないで多数発症しているものと考えられる。診断には,本症は本邦においても決して少ない疾患ではないという認識と多彩な臨床病像の理解が必要である。また確定診断は迅速に施行される肺シンチグラムでの血流欠損と,肺動脈造影での血流途絶,造影欠損によりなされるが,重篤なショックを呈するものでは心エコー図による右室拡大で診断し治療を行うことも多い。本症の治療の第1選択はヘパリンである。tissue plasminogen activaterによる血栓溶解療法,外科的肺動脈血栓摘除術,カテーテル的血栓吸引療法,下大静脈フィルターに関しては,その適応に一定の見解はなく,今後の検討課題である。また突然死を免れたものでの死亡の多くは再発によるものであり,診断時に主たる血栓源の下肢深部静脈の状況の把握と,その対応が必要である。
  • 指宿 昌一郎, 長田 直人, 鈴木 宜彰, 高崎 眞弓, 小林 志吉, 鵜川 貞二
    1996 年 3 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    末梢循環不全の患者に電気毛布を用いると,使用中のパルスオキシメータに誤作動が生じた。健康な被験者に末梢循環不全を作製して電気毛布を使用すると,酸素飽和度(SpO2)は0~99%の範囲で変動した。パルスオキシメータの吸光度信号をオシロスコープで観察すると,交流電源由来のノイズが混入した。ノイズ対策として,電気毛布を導電性カバーでシールドすると,ノイズの混入を99%減少させることができた。プローブをシールドしても,5~63%しか減少させることができなかった。吸光度測定周期を変更すると,電気毛布使用時にもSpO2の変動は92~100%になった。パルスオキシメータは,交流電源由来のノイズで誤作動を生ずること,吸光度測定周期の変更で,誤作動が避けられることが明らかになった。
  • 中川 英刀, 今中 秀光, 妙中 信之, 吉矢 生人, 村田 厚夫, 塩崎 均
    1996 年 3 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    胸部食道癌根治術後は呼吸器合併症の発生率が高い。術後に咳嗽反射が回復するまで長期間気管内挿管を行った前期群(51例)と咳嗽反射に関係なく術後2,3日目に抜管した後期群(30例)の呼吸器合併症発生頻度について比較検討を行った。術後肺炎の発生率は前期群43%,後期群17%,抜管後の声帯をはじめとする上気道障害発生率は前期群76%,後期群50%であり,前期群では後期群に比べて有意に呼吸器合併症の発生率が高かった。長期挿管を行うことは,上気道障害,嚥下機能の障害を発生させ,これが術後肺炎の原因となったと考えられる。早期に抜管するのが,上気道,咽頭機能温存のためには望ましい。また咳嗽反射の低下があってもミニ気管切開チューブの挿入にて,有効な肺理学療法が可能であった。
  • 福田 多恵子
    1996 年 3 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    成人呼吸窮迫症候群(ARDS)患者の肺胞洗浄液(BALF)中のPhospholipase A2(PLA2)の活性と性状を調べた。PLA2の活性はARDSの重症度と正相関を示し,ヘパリンセファロースカラムにて2つのピークを示した。ヘパリン吸着部分はARDS患者のみにみられ,その性状は炎症亢進の生理機能を持つgroup II PLA2に酷似していた。ヘパリン非吸着部分をさらに精製したところ,従来の高分子型とは異なるPLA2でARDS患者に高い活性を持つ高分子,カルシウム依存性のPLA2が同定された。しかし,これは中性至適pH(従来の高分子型の至適pHは9.0)で,既存の抗血清と免疫沈降を示さなかった。従って,この新しいタイプのPLA2がARDSの重症かつ複雑な病態生理に関与するものと推定された。
  • 森永 俊彦, 篠崎 正博, 小野 知美, 小池 良満, 川崎 貞男, 中 敏夫, 東岡 宏明, 友渕 佳明
    1996 年 3 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    心血管手術後患者8例にアムリノンを投与し,ガス交換と酸素代謝に及ぼす影響を調べた。アムリノン(10μg・kg-1・min-1)をボーラス投与なしに持続投与し投与30分,90分後の変化を投与前と比較検討した。心拍数,平均動脈圧はアムリノン投与前後で有意な変化を認めなかったが全身血管抵抗係数(2437±598→2166±671dyne・sec・cm-5・m2;以下数値はmean±SD)は有意に低下(p<0.01)した。心係数(2.5±0.6→3.0±0.91m-1)はアムリノン投与90分後には有意に増加(p<0.05)した。平均肺動脈圧(23±8→18±7mmHg),肺血管抵抗係数317±87→221±61dyne・sec・cm-5・m2)は90分で有意に低下(p<0.05)し,肺内シャント率(10.1±7→12.1±5%),呼吸係数(1.4±1.1→2.4±1.5)は投与30分後より有意に増加(p<0.05)しガス交換が悪化した。酸素消費量(185±34→220±88ml・m-1),非栄養血流(-34±25→-8±33%)はアムリノンの投与により増加し90分後に有意な増加(p<0.05)を認めた。以上より,アムリノンは組織血流を改善して酸素代謝を改善するが,肺血管拡張作用により,肺内シャントを増加させガス交換を悪化させることが示唆された。
  • 寺田 泰二, 新宮 興, 玉井 直, 長谷川 誠紀, 村川 雅洋, 荒井 俊之, 森 健次郎
    1996 年 3 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    縦隔リンパ節郭清を伴う食道亜全摘術を施行した41例に対して,手術翌日の術後第1日目に気道粘膜に虚血性変化を認めず,FiO2が40%のCPAPかTピースでPaO2が100mmHg以上,かつPaCO2が45mmHg以下である時に気管内挿管チューブの抜管を施行した。その後は気管支ファイバースコープ(FBS)を用いて気道内分泌物の吸引を行う呼吸管理を行った。その結果,27例(66%)で術後第1日に抜管することができ,再挿管例は1例であった。喫煙者と非喫煙者の間に挿管期間に有意差は無かったが,FBSを必要とした日数は,喫煙者(4.1±2.2日;mean±SD)が非喫煙者(2.9±1.2日)に比べて有意に(p<0.05)長く,気管切開を施行した2例,挿管期間が4日以上の4例,FBSを術後5日以上必要とした12例(p<0.02)は全員喫煙者であった。FBSによる気道内分泌物の吸引を十分に行えば,術後第1日目での抜管は安全に行えるが,喫煙者は非喫煙者に比べて長期の呼吸管理が必要である。
  • 笠岡 俊志, 鶴田 良介, 平 泰昭, 中島 研, 副島 由行, 定光 大海, 立石 彰男, 前川 剛志
    1996 年 3 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    マグネシウムは生体内で重要な役割を担う陽イオンであるが重症患者の血中イオン化マグネシウム(iMg2+)動態についてはほとんど検討されていない。そこで本研究ではICU入室患者の全血中iMg2+をイオン選択電極法を用いて検討した。ICUに7日間以上在室した重症患者29例と健康成人36例(対照群)のiMg2+とイオン化カルシウム(iCa2+)を同時測定した。対照群のiMg2+(0.53±0.04mmol・1-1)に比較して患者群では入室時(0.47±0.08mmol・1-1)およびICU入室6±1日(0.48±0.12mmol・1-1)ともに有意に低下した。これらの患者のiMg2+は酵素法による総Mgとは相関を認めなかった。また対照群で認められたiMg2+とiCa2+の有意な相関はICU入室時にはなかったが入室6±1日では有意な相関を示した。重症患者では生理活性を有するiMg2+の低下を高頻度に認めるためiMg2+のモニタリングが必須と考えられる。
  • 上田 康晴, 下村 俊行, 呉原 弘吉, 辰巳 一幸, 岩阪 友俗, 福島 哲志
    1996 年 3 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    人工呼吸管理が必要な熱傷患者5名に対し,ミダゾラム持続投与による鎮静法の有用性を検討した。ミダゾラムの持続投与量は,0.2±0.05mg・kg-1・hr-1(mean±SD)で1週間以上投与した。血圧・脈拍には大きな変化を及ぼすことなく,求める鎮静レベルが維持できた。投与中の血漿ミダゾラム濃度は,1179.5±244ng・ml-1であり投与期間中ほぼ一定の値を示し,持続投与中止後,平均血漿ミダゾラム濃度は1時間でそれまでの約70%,4時間で約50%へと低下した。副作用も見られなかった。以上より,人工呼吸中の熱傷患者の鎮静には,ミダゾラムを平均0.2±0.05mg・kg-1・hr-1で投与すれば適度な鎮静が得られ,かつ副作用は生じないことがわかった。
  • 平 泰昭, 立石 彰男, 副島 由行, 山本 彩, 笠岡 俊志, 田仲 弘行, 市山 高志, 福田 雅通
    1996 年 3 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    人工呼吸管理を要した重症ギランバレー症候群の2歳女児(体重10kg)に対して,発症7日以内に血漿交換を計3回(総血漿処理量180ml・kg-1)施行し,その後免疫グロブリン大量静注法(0.4g・kg-1・day-1,5日間)を併用,第34病日に人工呼吸を離脱した。血漿交換の際の血漿分離法として,回路充填量の多い遠心分離型では血液希釈を,膜分離型では回路内溶血を合併した。血行動態は安定し,明らかな血清電解質異常等は来たさなかったが,血液性状の変化にも厳重な監視が必要である。また,本症例のように,血漿交換実施後も神経症状が増悪し,同時に脂質・グロブリン等血液成分の喪失が無視できない場合,免疫グロブリン大量静注法の併用も検討されてよいと思われた。
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