日本集中治療医学会雑誌
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ウエルパス®吸入が間質性肺炎の原因と考えられた1症例
玉川 進大平 猛小川 秀道村田 克介和田 政彦大竹 一栄窪田 達也
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1996 年 3 巻 4 号 p. 269-272

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抄録
ウエルパス(R)(エチルアルコール(80%)+塩化ベンザルコニウム(0.2%))を誤って吸入した後,間質性肺炎をおこした症例を報告する。症例は72歳男性。2年前に左肺全摘を受けている。胃全摘術施行後5日目,ウエルパス(R)5ml程度を超音波ネブライザーにて吸入した。翌日胸痛を訴え,4日後には熱発し,7日後には呼吸不全となった。胸部X線写真では間質性肺炎像を認めた。経過中に二度の抜管を試みたが急速なPaO2悪化により再挿管を余儀なくされた。多臓器不全に陥り1ヵ月後死亡した。ウエルパス(R)吸入が間質性肺炎の原因となりうるか,ラット肺へのウエルパス(R)投与実験を行った。投与後5日目には細気管支を中心とした線維化がおこった。これは,本症例での間質性肺炎が,ウエルパス(R)によのであることを裏付ける成績であった。
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