抄録
ウエルパス(R)(エチルアルコール(80%)+塩化ベンザルコニウム(0.2%))を誤って吸入した後,間質性肺炎をおこした症例を報告する。症例は72歳男性。2年前に左肺全摘を受けている。胃全摘術施行後5日目,ウエルパス(R)5ml程度を超音波ネブライザーにて吸入した。翌日胸痛を訴え,4日後には熱発し,7日後には呼吸不全となった。胸部X線写真では間質性肺炎像を認めた。経過中に二度の抜管を試みたが急速なPaO2悪化により再挿管を余儀なくされた。多臓器不全に陥り1ヵ月後死亡した。ウエルパス(R)吸入が間質性肺炎の原因となりうるか,ラット肺へのウエルパス(R)投与実験を行った。投与後5日目には細気管支を中心とした線維化がおこった。これは,本症例での間質性肺炎が,ウエルパス(R)によのであることを裏付ける成績であった。