1996 年 3 巻 4 号 p. 289-292
34歳男性,分裂病にて通院加療中,フルフェナジン投与を契機とし悪性症候群を発症した。横紋筋融解症を合併し,血清CPK(49.7×104IU・l-1),およびミオグロビン(Mb:15×104ng・ml-1)の極度の異常高値をきたした。高Mb血症に対して,マニトールおよびフロセミドの持続投与と同時に,乳酸加リンゲル液により細胞外液の補充を行うwash-out療法を施行した。Wash-out療法により,血清Mb,CPKは劇的に低下し,急性腎不全の発症を回避することができた。悪性症候群に伴う横紋筋融解症に対しては,発症早期よりwash-out療法を行えば,重篤な合併症である急性腎不全の発症を予防できることが示唆された。