日本集中治療医学会雑誌
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フルルビプロフェンアキセチルとドブタミンの併用が組織酸素代謝の改善に有効であったと考えられる上行性胆管炎後敗血症の1例
佐藤 俊伊藤 淳堀之内 節皆瀬 敦松川 周橋本 保彦
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1996 年 3 巻 4 号 p. 293-298

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抄録

症例は23歳,男性で,上行性胆管炎に敗血症,呼吸不全を併発した。心拍数,心係数の増加,酸素摂取率の低下,混合静脈血酸素飽和度の上昇,乳酸アシドーシスがみられた。組織が酸素負債により低酸素状態に陥っていた。フルルビプロフェンアキセチル投与後,体温低下とともに血圧,心拍数,心係数,酸素供給量が減少しドブタミンを併用した。ICU入室時に比較して,酸素摂取率が増加し,混合静脈血酸素飽和度が低下した。乳酸アシドーシスも解消し,組織酸素代謝が改善した。酸素供給量を正常域を越えたレベルに維持し,非ステロイド性消炎鎮痛薬により細胞の酸素需要を抑制することが,敗血症時の組織酸素代謝を改善する一助になりうると考えられた。

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