低体温による脳保護作用が認識されてすでに半世紀近くになる。その間,その利害得失が明確にされないまま廃れようとしていたいわば第一世代を経て,最近の10年間にわたる著しい基礎研究の成果から,少なくとも動物実験では低体温の脳保護作用が確固たるものとなった。また,低体温の有効性を示す顕著な臨床例も蓄積されつつあり,今や低体温第二世代に入ったといえる。本小文では,T.Fayの画期的な人体への低体温導入以後,基礎研究としてどのような展開を経て現在にいたったかについて概説し,基礎医学側の今後の課題に言及する。