日本集中治療医学会雑誌
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急性呼吸不全で発症し抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連疾患であることが判明した1症例
田村 高志中村 ミチ子國井 達雄森本 康裕清水 清美宮内 善豊
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1997 年 4 巻 3 号 p. 231-235

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抄録
急性呼吸不全で発症し腎不全を合併した抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連疾患を経験した。18歳の女性で,呼吸困難でICUに入室した。血性痰,低酸素血症,尿蛋白と低蛋白血症があり,ステロイドパルス療法を行い一旦軽快した。腎および肺生検で,半月体形成性糸球体腎炎,肺胞出血が認められ,自己抗体の検索でperinuclear-ANCA(P-ANCA)陽性であった。ステロイド内服の経過中,再び肺・腎機能が悪化し,血漿交換と血液透析,ステロイドパルス療法を行い肺機能は改善したが,血液透析は継続が必要となった。約1か月後,肺機能が悪化したため,吸着式血液浄化を施行した。P-ANCAは陰性化したが,血液凝固異常に伴い呼吸不全が悪化し,出血性脳梗塞で死亡した。本症例はP-ANCA陽性のWegener血管炎と考えられた。P-ANCAの定量や白血球数,C反応性蛋白は病態の活動性を正確に反映していたとはいえず,活動性の指標と治療法の選択が問題である。
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