成人発症例としてまれなサルモネラ髄膜炎を経験した。65歳女性が東南アジアへの旅行のあと,頭痛,嘔気・嘔吐を初発症状として発症した。患者は慢性肝炎治療のため,副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬を長期に内服していた。臨床症状および所見から,発症初期はクモ膜下出血を疑われた。髄液検査および培養でサルモネラ髄膜炎と診断した。適切な抗生物質の投与にて,軽度の神経障害を残したが,軽快退院した。基礎疾患に慢性肝炎やステロイド・免疫抑制薬投与があるような易感染性の成人患者では,サルモネラ感染で髄膜炎を発症するおそれがある。