日本集中治療医学会雑誌
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硝酸薬は日本人におけるヘパリンの抗凝血作用へ影響をおよぼすか?
伊藤 智範宮尾 雄治伊藤 彰矢野 理子良本 佳代子宮崎 俊一後藤 葉一野々木 宏
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1998 年 5 巻 3 号 p. 211-215

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抄録
ヘパリンと硝酸薬の点滴は狭心症の安定化に有効であり,両薬物はしばしば併用される。しかし,ニトログリセリン(NTG)はヘパリンの効果を低下させるという報告がある一方,硝酸薬には抗ヘパリン作用はないとする報告もある。そこで,硝酸薬がヘパリンの抗凝血作用へおよぼす影響について検討した。第1プロトコール:急性冠症候群12例を対象とし,ヘパリンを一定量持続点滴し,5時間ごとにNTG・硝酸イソソルビド・NTGの順に交互に点滴静注を行った。第2プロトコール:安定狭心症と胸痛症候群の9例を対象とし,ヘパリンを単独で点滴投与し,その後硝酸薬と併用し,再びヘパリンを単独で点滴した。点滴変更直前にそれぞれ活性化凝固時間・活性化部分トロンボプラスチン時間・アンチスロンビンIIIを測定した。いずれの検討でも硝酸薬はヘパリンの効果を減弱させることはなく,日本人の薬物療法としてその併用に問題はないと考えられた。
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