日本集中治療医学会雑誌
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メチルジゴキシン大量誤飲症例の治療経験
渡辺 博伊藤 洋沓名 理佳子三木 靖雄井上 保介野口 宏渡部 圭一朗小林 正
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1998 年 5 巻 4 号 p. 407-410

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抄録
大量メチルジゴキシン誤飲による急性中毒症例に対し,直接血液吸着法(DHP),血液透析(HD)および呼吸循環管理を集中治療室(ICU)で行い救命した。患者は46歳男性,薬物誤飲疑いにて来院。悪心,嘔吐,興奮状態に加え,心電図は完全房室ブロックであった。便の消臭薬をメチルジゴキシンと誤って誤飲(約50錠)したことが聴取され,急性大量ジゴキシン中毒と診断した。ICU入室時の血中ジゴキシン濃度は46.5ng・ml-1と高値であった。人工呼吸管理,ペースメーカなど循環管理を行う一方,DHPを開始,高K血症に対してはHDにて対処した。DHPはHDを挟んで5カラムを約20時間で施行(HDは約8時間施行)した。ICU入室後数時間で,血中ジゴキシン濃度は16.6ng・ml-1まで急速に低下した。急性大量ジゴキシン中毒では呼吸循環,高K血症対策に加え,血中ジゴキシン除去の補助手段として,早期のDHPが有効であると思われた。
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