日本集中治療医学会雑誌
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急性下肢動脈閉塞症に対する下肢局所灌流法2症例の経験
閉塞後長時間経過症例に対して
市原 利彦石田 英樹朝倉 貞二酒井 喜正保浦 賢三
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1998 年 5 巻 4 号 p. 401-405

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抄録
急性下肢動脈閉塞症はその発症部位,発症からの時間により種々の病態を呈する。特に閉塞後長時間経過した症例は,閉塞動脈に再開通が得られても,myonephropathic metabolic syndrome (MNMS)を来し,しばしば致命的となる。著者らは急性閉塞後長時問経過した下肢動脈閉塞症の2症例に対し,下肢局所灌流法を施行した。1例は腹部大動脈瘤破裂の緊急手術後に発症した高位腹部大動脈閉塞,他例は右総腸骨完全閉塞の症例でいずれも発症から20時間以上経過し,細胞逸脱酵素,血清カリウムの上昇を術前より認めた。血行再建後に,下肢局所灌流法を施行した。1例は多臓器不全で失ったが,他例はMNMSを認めることなく救命,救肢できた。下肢局所灌流によってカリウム上昇,アシドーシスの進行は抑制されたので,急性動脈閉塞症の閉塞後長時間経過した症例に対して本法は有効であると考える。
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