日本集中治療医学会雑誌
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エンドトキシンの疾患における役割
稲田 捷也遠藤 重厚
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1999 年 6 巻 4 号 p. 337-345

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抄録
エンドトキシン(LPS)に関する最新の報告を簡単にレビューし,さらにLPSに特異的なリムルステストとわれわれの開発した血漿前処理法(New PCA法)を駆使し,ここ十数年行ってきた研究の成果に基づいてLPSの病態における役割を考えた。1)LPS・LBP複合体は膜上のCD14と最近発見されたTLRとの複合体に結合し,シグナルが伝達される。2)感染を伴わない全身性炎症反応症候群(SIRS)ではLPSはほとんど基準値以下であった。3)重症の腹膜炎でもLPSの陽性率は決して高くなく,また血中濃度も高値でなかったことから,感染局所からのLPSの血中への侵入は無秩序には起こらない。4)敗血症や敗血症性ショックで病態と相関するのはLPSではなく炎症性サイトカインであった。5)抗LPSモノクローナル抗体(E5)の治験の成績のうち,血中LPS量と血液培養の結果から,菌血症でもLPS陰性(bacteremia but non-endotoxemia)の場合があり,リムルステストの検出感度が低いことが考えられた。6)LPSはむしろ感染局所で全身性の炎症反応に働いている。7)血漿蛋白に結合したLPSも多くの場合リムルステストで測定されている。8)保険適用測定法の一部にはまだ問題点がある。
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