日本集中治療医学会雑誌
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劇症型心筋炎に対する経皮的心肺補助法の治療指針
青山 直善
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2001 年 8 巻 1 号 p. 5-9

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抄録

急性心筋炎は,感冒様症状と心電図異常にとどまる軽症のものから,致死的な不整脈や心不全を生じて急速な経過で心原性ショックに陥り死亡するものまで多彩である。特に急激に発症し,ポンプ失調や重篤な不整脈を併発して急速な経過で心肺危機に陥り,時に死亡するものを劇症型心筋炎という。近年,従来では救命しえなかった劇症型心筋炎症例が,大動脈内バルーンパンピング(intraaortic balloon pumping, IABP),経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)や補助人工心臓(ventricular assistant device, VAS)の使用により救命可能となり,積極的な急性期救命治療が提唱されている。日本循環器学会学術委員会では1997~1999年度にかけて「心肺補助循環を用いた劇症型心筋炎の治療と予後」と題した調査研究(班長:北里大学医学部内科和泉徹)を展開し,心肺補助循環を必要とした劇症型心筋炎症例について,適応基準や管理方針,合併症対策や離脱基準を標準化するために検索が積まれてきた。本稿ではその調査結果も多少含めて,PCPSを必要とした劇症型心筋炎症例の臨床的な特徴,補助循環法に至るまでの導入経過およびPCPSの適応,管理・離脱法や合併症予防・対策を具体的に掲げ,その運用法を解説した。

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