日本集中治療医学会雑誌
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集中治療医学と遺伝子多型
日野田 裕治
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2001 年 8 巻 3 号 p. 159-164

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抄録

単一塩基置換(SNP)はゲノム上に高密度(約350塩基に1個)に存在し,疾患感受性遺伝子の解析に応用されつつある。特に候補遺伝子アプローチとして,遺伝子の転写制御領域やアミノ酸をコードする領域のSNPが解析されている。SNPは集団の1%以上に見出されるありふれた塩基の変化であり,遺伝病のように単独で病気を引き起こすことはない。複数のSNPの組み合わせでさまざまなありふれた疾患が発症すると想定されている。集中治療医学の領域では,最近,敗血症の病態とSNPとの関連が検討されている。TNF-α遺伝子にはその転写制御領域にSNP-308G/Aが知られている。Aを有する対立遺伝子(TNF2)頻度は健康対照に比べて敗血症患者で有意に高く,さらに患者群において,生存群よりも死亡群で有意に高いことが報告された。敗血症の病態や予後に関わるSNPを明らかにしていくことによって,個々の患者に最も適した治療法の選択が可能になるものと期待される。

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