日本集中治療医学会雑誌
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8 巻, 3 号
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  • 日野田 裕治
    2001 年 8 巻 3 号 p. 159-164
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    単一塩基置換(SNP)はゲノム上に高密度(約350塩基に1個)に存在し,疾患感受性遺伝子の解析に応用されつつある。特に候補遺伝子アプローチとして,遺伝子の転写制御領域やアミノ酸をコードする領域のSNPが解析されている。SNPは集団の1%以上に見出されるありふれた塩基の変化であり,遺伝病のように単独で病気を引き起こすことはない。複数のSNPの組み合わせでさまざまなありふれた疾患が発症すると想定されている。集中治療医学の領域では,最近,敗血症の病態とSNPとの関連が検討されている。TNF-α遺伝子にはその転写制御領域にSNP-308G/Aが知られている。Aを有する対立遺伝子(TNF2)頻度は健康対照に比べて敗血症患者で有意に高く,さらに患者群において,生存群よりも死亡群で有意に高いことが報告された。敗血症の病態や予後に関わるSNPを明らかにしていくことによって,個々の患者に最も適した治療法の選択が可能になるものと期待される。
  • 渡邉 誠之, 加納 龍彦, 金子 真也, 山田 信一, 三島 康典, 戸畑 裕志
    2001 年 8 巻 3 号 p. 165-170
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    心室細動(Vf)の心電図波形解析から電気的除細動が成功する要件を検討した。10頭の仔豚を用いた。麻酔導入後,空気にて人工換気を行い交流電流を心室内に通じVfを誘導した。8分間の無処置期間の後,閉胸式心マッサージを開始し,エピネフリン,リドカイン,ブレチリウム,プロプラノロールを静注した。除細動(100ジュール)は1分ごとに最大5回まで行った。除細動後3分間平均血圧が60mmHg以上維持できた場合を成功群とした。心電図II誘導Vf波形の高速フーリエ変換(fast Fourier transform,FFT)後に周波数解析を行い,ピーク周波数の電位と周波数を測定した。Vf導入前の血行動態,動脈血ガス分析には成功群と不成功群の間に有意差はなかった。8分間のVf下無処置期間に周波数および電位は時間経過とともに減少した。除細動成功時は,周波数(P<0.01)と電位(P<0.05)が不成功時に比べて有意に高くなった。除細動成功時はVf心電図波形のピーク周波数解析で,20μV以上の電位と9Hz以上の周波数という条件を満たした。
  • 藤林 哲男, 安田 善一, 石本 雅幸, 鈴木 久人, 福田 悟, 内木 宏延
    2001 年 8 巻 3 号 p. 171-176
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    スズメバチ刺傷後に多臓器不全をきたした症例を経験した。治療経過と剖検所見を報告した。症例は74歳,男性で,スズメバチに襲われ,約50ヵ所刺され,近医に入院した。受傷12時間後より乏尿となり,翌日(受傷24時間後)に当院ICUに収容となった。収容時,意識清明。血圧190/130mmHg,脈拍113min-1。血液生化学検査では,腎機能障害(BUN:38mg・dl-1,Cr:2.5mg・dl-1),肝機能障害(GOT:10,120IU・l-1,GPT:2,550IU・l-1)および横紋筋融解(CPK:86,290IU・l-1)を認めた。急性腎不全に対し持続血液濾過を,ハチ毒除去の目的と肝障害に対して血漿交換を計5回施行した。総ビリルビン値は漸増し,第6ICU病日頃より意識レベルが低下(Japan Coma ScaleでIII-100,Glasgow Coma Scaleで6点)し,播種性血管内凝固進行のため大量下血をきたし第16ICU病日に死亡した。病理所見では,骨格筋,心筋および脳の散在性融解壊死,肝臓および腎の変性壊死が確認された。ハチ毒には細胞破壊に関与する高分子蛋白質が多数が含まれていることから,救命にはより早期の血漿交換が必要と考えられた。
  • 薬物動態からみた血液透析の有効性について
    宮市 功典, 氏野 博昭, 林下 浩士, 重本 達弘, 鍛冶 有登, 月岡 一馬, 西 信一
    2001 年 8 巻 3 号 p. 177-181
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    アスピリン(アセチルサリチル酸)大量服用(330mg・kg-1)症例に対する血液透析の有効性を薬物動態学的に検討したので報告する。症例は24歳,男性。発作的にアスピリン40錠(500mg/錠)を服用し,激しい嘔吐および発熱を主訴として来院した。来院時,頻呼吸,頻脈および著明な発汗を認めた。強制利尿および尿のアルカリ化などの保存的治療に抗して,次第に腎機能や意識状態などの臨床症状が悪化した。そこでサリチル酸除去を目的に血液透析を2回施行したところ,臨床症状は著明に改善し,第9病日に軽快退院した。2回目の血液透析後の血清サリチル酸濃度(2μg・ml-1以下)は,薬物動態学的に検討した予測推定濃度(110μg・ml-1)よりも低下しており,血液透析が極めて有効であったと考えられた。したがって高用量の内服例においては血液透析が推奨できる。
  • サイトカインおよび接着分子発現パターンの検討
    内籐 嘉之, 池田 光子, 中村 公彦, 藤井 公男, 大郷 典子, 鬼頭 幸一
    2001 年 8 巻 3 号 p. 183-186
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    疱疹状膿痂疹は汎発性膿疱性乾癬の亜型と考えられ,好中球の表皮組織浸潤と無菌性膿疱形成,さらに多臓器不全をきたしうる重篤な全身性炎症反応症候群(SIRS)の合併を特徴とする。妊娠後期に発症しSIRSを呈した疱疹状膿痂疹の1症例において,サイトカインおよび接着分子発現を解析しえたので報告する。症例は26歳の初産婦。妊娠31週より腹部に小膿疱を伴う類円形紅斑が出現し,同35週に膿疱,糜爛形成を伴う紅斑が全身に広がり,強度の疼痛および発熱をきたした。重篤なSIRSの全身症状が認められたため,緊急帝王切開術施行後メチルプレドニゾロン投与を開始した。皮疹および全身症状は術後速やかに改善した。本症例では,表皮組織への好中球浸潤とともに炎症性サイトカインおよび好中球遊走に関与するケモカインや接着分子の発現亢進を認め,これら遺伝子の発現誘導パターンが病態生理に関連することが示唆された。
  • 小山 秀樹, 西村 匡司, 藤野 裕士, 真下 節
    2001 年 8 巻 3 号 p. 187-191
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    人工呼吸による肺損傷を防ぐには,圧-容量曲線(P-V)のデータから人工呼吸条件を設定することが提唱されている。ベッドサイドでP-V測定を行う方法としてスーパーシリンジ法がある。大きなシリンジを気管内チューブに接続し,一定の容量,速度,間隔で患者の肺を膨らませ,気道内圧と肺容量の関係を調べる方法である。正確に容量,速度,間隔を制御できる装置を開発した。スライダー(SPF86B10-3SD:オリエンタルモータ社)をコントローラ(SPG8800:オリエンタルモータ社)を経由してコンピュータで制御する。本装置は,スライダーは±0.001mmの精度で移動する。移動距離,速度,休止時間,反復回数をコンピュータで任意に設定できる,スーパーシリンジ法で自動的に注入する装置であり,正確なP-V測定を行うために有用である。
  • 谷口 英喜, 山口 修, 速水 元
    2001 年 8 巻 3 号 p. 193-194
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 濱田 千里, 島本 千秋, 米田 眞智子
    2001 年 8 巻 3 号 p. 195-196
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 大塚 祐史, 内藤 嘉之, 木口 貴夫
    2001 年 8 巻 3 号 p. 197-198
    発行日: 2001/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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