日本集中治療医学会雑誌
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ラット腹膜炎敗血症における小腸組織傷害に対する熱ショック蛋白による防御効果
七戸 康夫住田 臣造
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2001 年 8 巻 4 号 p. 325-332

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抄録
侵襲時に発現する熱ショック蛋白(heat shock protein, HSP70)に注目し,敗血症による小腸のHSP70誘導とHSP70による敗血症性小腸組織傷害の軽減を検討した。ラット盲腸結紮穿刺(CLP)腹膜炎モデルを用い,36時間後に犠死せしめ抗HSP70抗体を用いて免疫組織染色を行った。さらに温熱曝露(heat stress, HS)または亜ヒ酸ナトリウム(sodium arsenite, SA)を与えた後にCLPを行ったHS-CLP群,SA-CLP群の小腸組織傷害の程度をCLP群と比較した。CLPによって小腸絨毛先端にHSP70が強く誘導された。小腸にHSP70を発現させる至適なHSは42℃15分間,SAの投与量は6mg・kg-1であった。HS-CLP群,SA-CLP群はCLP群と比較して,小腸傷害が軽減された(P<0.05)。ラット腹膜炎敗血症の際に小腸にHSP70が発現し,またHSP70の前誘導により小腸組織傷害が軽減され,敗血症治療の検討課題となりうることが示唆された。
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