日本集中治療医学会雑誌
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術後気管膿瘍瘻による急性呼吸不全に対してドレナージと体外酸素化により救命できた1症例
松岡 博史押川 満雄吉村 安広成尾 浩明谷口 正彦濱川 俊朗高崎 眞弓
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2001 年 8 巻 4 号 p. 341-345

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抄録

術後気管膿瘍瘻による急性呼吸不全に対し,ドレナージの工夫と体外膜型肺(ECMO)を用い救命できた1症例を報告する。症例は54歳の男性。食道癌で食道亜全摘術を受けた。術後第5病日に気管内より膿汁が多量に排出され,直後にP/F ratioが47mmHgに低下した。下大静脈送脱血でECMOを開始した。ECMO補助中の人工呼吸は,FIO20.6以下でSpO295%以上に保った。術後第9病日の気管支鏡検査で気管分岐部直上に縦隔内膿瘍との交通を認めたため,気管チューブ内を通した細い経皮的経肝胆嚢ドレナージ用カテーテルと,背部からのドレナージを行った。ドレナージによるエアリークを減らし,陽圧換気ができるように,ドレーンの持続吸引を行わずチューブ先端を水中に入れるなどの工夫をした。徐々に膿汁の流出が減少し呼吸状態が改善し,術後第13病日にECMOから離脱し,術後第33病日に気管チューブ内ドレーンを抜去した。術後第40病日に人工呼吸器より離脱し,翌日一般病棟に退室した。

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