抄録
本稿は、その定義や指標に焦点を当てながら、日本国内における「インターネット依存」に関する調査研究のメタ分析を行うものである。
CiNiiやNDL-OPACから「インターネット依存」や「携帯電話依存」についての実証的研究を行った論文53編を抽出して分析したところ、海外の状況と同様にその定義や用語の使い方が曖昧であることが明らかになった。また、指標については、DSM-IVを転用したYoung(1996, 1998)の尺度を基盤にするものに加え、自由回答から作られた項目で構成される尺度が開発されているという独自性が見られた。サンプルや因果関係の仮定に偏りがあることも問題点として挙げられた。
日本でも「インターネット依存」の概念検討は不充分な状況にあり、言葉のみが拡散している可能性がある。本稿では、このような状況で「インターネット依存」に対する対策が採られることには注意が必要であると主張している。