大学講義をネット公開する流れは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のオープンコースウェア(OCW)から大規模公開オンラインコース(MOOC)へ移行している。そこには、オンライン講義の公開に関する課題がある。第一は、MOOC では明確ではないものの、OCWではクリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスによっている点である。第一の課題は、CCライセンスは米国の著作権制度に準拠するものであり、わが国の法的・倫理的な対応とはいえない。第二は、著作物のOCW等は登録商標でもあり、そしてOCW等の公開の仕組みは特許権の関与も想定される点である。第二の課題は、著作権管理のみでなく、総合的な知的財産権管理が求められてくる。それら課題を解決するためには、わが国の社会制度との関係が明らかにされなければならない。それは、「著作権と関連権」の保護と制限、商標権と特許権も含み、倫理の対応へ及ぶものになる。本稿は、オンライン講義の公開に関する「著作権と関連権」とcopyrightとの相互関係ならびに産業財産権および倫理に関する総合的な知的財産権管理について明らかにする。