情報通信学会誌
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論文
メディアとしてのブロードバンド産業の分析
構造変化とコンテンツ振興政策への含意
実積 寿也
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2015 年 33 巻 3 号 p. 13-27

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抄録

情報通信技術(ICT)の急速な進歩を背景に、コンテンツ産業は、日本の持続的成長・発展を支える基盤産業としての貢献が期待されている。そのため、同産業に対して何らかの成長阻害要因が予見される場合は、相応の政策的対処を検討し、望ましい産業組織を育成する必要がある。近年のインターネットプロトコル(IP)技術の高度化は、ネットワーク産業とコンテンツ産業を垂直統合した新しいプレイヤーを生みつつあり、これら新型プレイヤーは、独占力のレバレッジを通じて競争政策上の新たな課題をもたらす懸念がある。具体的には、モバイルブロードバンド(BB)が主流になるにつれ、プロバイダ市場の寡占化が進み、コンテンツ・ディストリビューションの効率的確保が阻害される可能性がある。そのため、モバイル BB 事業者に対し一定の規律を与えることは、BB 市場の効率性改善の観点のみならず、コンテンツ産業育成の観点からも重要である。米国のネット中立性規制は、その際、良い参照例となろう。

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