情報通信学会誌
Online ISSN : 2186-3083
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33 巻, 3 号
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論文
  • 5つの理由と検討すべき10の命題
    林 紘一郎
    2015 年33 巻3 号 p. 1-11
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    「情報法」に関連する議論は、ほとんど有体物の法体系の延長線上でなされているが、情報には有体物とは異なる特性があり、新たな発想での対応が必要である。また、この分野には次々と新しい事象が現れるため、情報法の関係者は個別判断を迫られ、何を基準にして判断したら良いかという議論が熟していない。通常の法学は、総論と各論に分けて論ずることが多いが、未だ発展途上にある「情報法」では、総論の前に「一般理論」を検討する必要がある。
    本稿では、無体財である情報について、「占有」や「所有」を観念することができないなどの特徴を、主として法解釈の面から挙げ、インターネット・ガバナンスにも関連させつつ、法政策的にも「一般理論」の探求が不可欠であることなど、5 項目の必要性を主張する。さらに、今後検討すべきテーマとして合計 10 の命題を摘出し、これらの考察を進めることが、私自身も含めて今後の研究の指針となることを期待する。
  • 構造変化とコンテンツ振興政策への含意
    実積 寿也
    2015 年33 巻3 号 p. 13-27
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    情報通信技術(ICT)の急速な進歩を背景に、コンテンツ産業は、日本の持続的成長・発展を支える基盤産業としての貢献が期待されている。そのため、同産業に対して何らかの成長阻害要因が予見される場合は、相応の政策的対処を検討し、望ましい産業組織を育成する必要がある。近年のインターネットプロトコル(IP)技術の高度化は、ネットワーク産業とコンテンツ産業を垂直統合した新しいプレイヤーを生みつつあり、これら新型プレイヤーは、独占力のレバレッジを通じて競争政策上の新たな課題をもたらす懸念がある。具体的には、モバイルブロードバンド(BB)が主流になるにつれ、プロバイダ市場の寡占化が進み、コンテンツ・ディストリビューションの効率的確保が阻害される可能性がある。そのため、モバイル BB 事業者に対し一定の規律を与えることは、BB 市場の効率性改善の観点のみならず、コンテンツ産業育成の観点からも重要である。米国のネット中立性規制は、その際、良い参照例となろう。
寄稿論文
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