2016 年 34 巻 2 号 p. 137-143
我が国では、青少年のインターネットの利用から生ずる諸問題に対する方策として、フィルタリングの利用が青少年インターネット環境整備法に規定されている。しかし、そのフィルタリングの利用普及が進んでいない。本法では、その利用はオプトアウト方式よるデフォルトルールとして規定されている。行動経済学ではオプトアウト方式は有効な政策手段の一つとして議論されているが、本政策においては十分に機能しているとは言えない。本稿では、デフォルトに関する理論的考察を行うことにより、現状のフィルタリング普及政策における問題について検討した。さらに、現状の問題を改善する方策としてフィルタリングに対する保護者の理解を深めるための、意識向上のための施策を講じることの必要性と、デフォルトルールの改善方略として、スマートデフォルトの有効性と課題について論じた。