情報通信学会誌
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論説
中山間地域の住民による生活情報へのアクセスについての研究
デジタル・インクルージョンの観点から
黒山 良洋
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2017 年 35 巻 2 号 p. 53-61

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抄録

中山間地域の農村は自然環境の保全などの機能を有する一方、過疎化や高齢化などの問題に直面している。このような地域でも、日常生活に必要な情報へのアクセスを確保することが、住民の生活の維持や、地域による機能の発揮につながるのではないか。本研究においては、ごみ収集、路線バスの運行時刻などの情報にアクセスする手段、パソコンと携帯電話の使用頻度についての質問紙調査を、埼玉県内の中山間地域において行った。調査の結果、紙媒体が高い比率で選択されていることと、携帯電話の使用頻度はホームページの不使用に影響を与えていないことが判明した。高齢化が進むわが国においては、生活情報へのアクセス手段としての紙媒体と携帯電話が見直されるべきではないか。居住地や年齢に関わらず、日常生活に必要な情報にアクセスできる社会こそ、デジタル・インクルージョンが実現した姿だといえるだろう。

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