情報通信学会誌
Online ISSN : 2186-3083
Print ISSN : 0289-4513
ISSN-L : 0289-4513
論説
ネットワーク増強への公平な負担(fair contribution)を巡る議論の進展:欧州の提案を中心に
実積 寿也
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 41 巻 3 号 p. 13-23

詳細
抄録

ブロードバンドトラフィックの急増に対応するため、通信ネットワークの増強が求められ、その費用分担についてネットワーク整備の主たる受益者であるOTT事業者と、投資主体であるネットワーク事業者の間で欧米を中心に2000年代後期以降、議論が蓄積されてきている。その中で、まず、欧州の通信事業者団体は、2012年の世界国際電気通信会議にむけて、「発側ネットワーク支払い」を提案した。2020年からはNetflixとSKBroadband間の費用分担をめぐる法廷論争が韓国を舞台に展開され、その後2023年には、欧州委員会が「公平な負担」に関する議論をスタートさせた。欧州委員会は、2030年までにギガビットネットワークと次世代無線高速ネットワークの普及を目指し、すべての市場関係者に公平な貢献を求めることを宣言している。本稿は、欧州における公平な負担議論をまとめたうえで、同様の問題に直面するであろうわが国の通信政策への貢献を目指す。

著者関連情報
© 2023 情報通信学会
前の記事 次の記事
feedback
Top