2012 年 26 巻 1 号 p. 090-093
脂肪肉腫は悪性軟部腫瘍の中では比較的頻度が高いが,胸壁原発は稀である.症例は58歳男性で,健診での胸部CTにて異常陰影を指摘され紹介となった.CTでは左胸壁後方に3cm大の境界不明瞭な脂肪濃度の腫瘤陰影を認めた.MRIではT1WIにて高信号を呈し,脂肪抑制で一部高信号域を認めた.胸壁原発脂肪肉腫の疑いで,約3cmの切除マージンを取って第7,8肋骨を含む腫瘍切除を施行した.病理組織学的には高分化型脂肪肉腫と診断された.脂肪肉腫では局所再発の頻度が高いため,十分な切除マージンを確保した広範囲切除を施行することが重要であると思われた.