抄録
沖縄地方では近年,過度の赤土流出が問題となり,農地における侵食抑制対策が求められている.本研究では,沖縄地方における基幹作物であり,主要な土砂発生源の一つであるサトウキビ畑を対象として,同一条件下での土砂流出試験を行った.その結果,不耕起,間作栽培,植生帯の各種対策要素の土砂流出削減率は,対照区と比較して,それぞれ89%,45%,17%であった.さらに,これらの対策要素を取り入れた形の栽培方法として,不耕起状態で行うサトウキビ株出し栽培及び減耕起植え付けと間作を取り入れたサトウキビ春植え栽培を考え,それらの土砂流出試験を実施した.その結果,各栽培試験区における土砂流出削減率は,対照区と比較して,それぞれ85%,69%であった.これらの栽培方法を統合したサトウキビ栽培サイクルは,圃場における侵食抑制には有効であると評価できる.