2009 年 77 巻 4 号 p. 461-468
本研究は,岩手県北部火山灰累層について,その完新統から上,中,下部更新統にわたり,各層準に刻まれた根成孔隙の劣化度の変動を調べた.その結果,根成孔隙は土中に発生し,増大する増殖期に続いて,増殖が停止して一定形態,一定量の組織分布となって存続する耐久期に移行し,やがて根成孔隙が衰退し消滅に向かう衰滅期に至るという3期を変遷することが明らかとなった.そして,耐久期から衰滅期に移行する根成孔隙の耐久年限は25万年を超えないことを推定した.この年限を超えて衰滅期に入ると,劣化度の増大は堆積経過時間に単調に比例しないが,劣化度2以上に進む層準が約80%,重度~消滅状況の劣化度3~4に達する層準が約60%を占めた.