抄録
土壌からの温室効果ガス発生量を検討することを目的としてガス透過性チューブを用いた土壌ガス濃度連続測定装置を試作した.ガス透過性チューブの素材としては,応答性の面でpolytetrafluoroethylen(PTFE),polyfluoroethylene propylene(PFEP)よりもシリコーンゴムが適していた.チューブ内に非分散型赤外線式CO2濃度変換器,酸素濃度センサーを挿入した埋設型ガスモニタリングシステム(Buried Tubing Gas Monitoring System,BT-GMS)を試作し,クロボク土壌に埋設して土中のCO2,水分量,地温を原位置で連続モニタリングした.降雨に対して土壌中CO2濃度の応答は非常に速く,最大で1.2%を超えるCO2濃度を示した.この降雨に対する応答は,夏季には著しく,他方,気温が低下する冬季に鈍いことから,雨水の浸潤前線による封入効果ではなく,土壌呼吸が主因であると可能性が推察された.