河川の表層水に残留した農薬が伏流で受ける影響を明らかにするため,2005年5~6月に琵琶湖流入河川のうち伏流が見られた野洲川で3回,伏流しなかった日野川で2回,農薬の濃度と負荷量を測定した.支川からの流入がない区画における最上流地点と琵琶湖の背水の影響を受けない河口地点の農薬濃度を比較すると,日野川では濃度の変動は見られなかったが,野洲川では表層水の一部が伏流した調査日で1/3程度,完全に伏流した調査日で1/100以下に減少した.これは,伏流水が周囲の浅層地下水や琵琶湖の背水による希釈・拡散の作用を受けたためと考えられた.農薬の表層水による流達率は,日野川でほぼ1.0,野洲川では0.01~0.1以下であった.