2012 年 80 巻 3 号 p. 297-302
農地・水保全管理支払と農地整備の状況等の農業生産基盤の条件,集落営農や農地利用集積等との因果関係を明らかにするため,市町村データを用い,パス解析による分析を行った.その際,交絡因子と想定される市町村規模の影響について考慮し,2ケースの因果モデルを構築した.分析結果より,農地整備や地形・地勢等の農業生産基盤の条件が,本対策前の集落営農組織の形成や担い手への農地利用集積に影響を与え,これらが本対策の取組を規定する要因であることが検証された.また,本対策の取組が,その後の集落営農組織の形成や担い手への農地利用集積の促進に一定の効果をもたらすものであることが検証された.さらに,地域の都市化・混住化は,集落営農組織の形成や担い手への農地利用集積に対して負の影響を与え,これらへの影響を通じ間接的に本対策の取組に負の影響を与えることが検証された.