農業農村工学会論文集
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80 巻 , 3 号
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研究論文
  • 佐藤 美紀雄, 熊谷 雅之, 東 信行
    2012 年 80 巻 3 号 p. 233-243
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    青森県岩木川左岸地区の農業用水路網において,ヤリタナゴの産卵生態と季節的な移動に関する調査を行った.調査地のヤリタナゴは,主な産卵母貝としてヨコハマシジラガイ,マツカサガイを利用していた.また,採捕個体数,体長組成および標識再捕結果から,調査地では支線水路である砂沢地区を産卵場および仔・稚魚の生育場として利用し,成長した個体が幹線用水路である土淵堰用水路に分散して生活している可能性が示唆された.このような生活史は,選好される産卵母貝の分布が一部の水路に限られていたこと,支線水路が仔・稚魚の成育場として良好な環境であったためと考えられた.
  • 佐々木 長市, 松山 信彦, 久保田 正亜, 野田 香織, 角野 三好
    2012 年 80 巻 3 号 p. 245-252
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    カドミウム汚染水田模型を作製し,常時湛水条件下で汚染土層厚を22.5cmと32.5cmに変え,稲体のカドミウム濃度および水稲の生育収量を3カ年にわたり調査した.水田模型は,すき床および心土層が開放浸透層でかつ酸化層となる開放浸透模型と同層が閉鎖浸透層で還元層となる閉鎖浸透模型の2種類をカドミウム汚染水田から採取した土壌(3.39mg/kg)を用いて作製した.その結果,カドミウム濃度の範囲は,玄米で0.000~0.200mg/kg,茎葉で0.059~1.250mg/kg,作土層の根で1.80~25.05mg/kg,すき床層の根で5.17~61.63mg/kg,心土層上部の根で0.28~22.97mg/kgとなった.同じ厚さの汚染土を持つ模型では,浸透型の相違で,葉齢,総藁重,穂数,粗玄米重,玄米のカドミウム濃度,作土およびすき床層の根中カドミウム濃度の各値に有意差が認められた.汚染土層厚の相違による有意差は,総藁重,粗玄米重,作土およびすき床層の根中カドミウム含有量の各値に認められた.この結果より,常時湛水栽培下でも汚染土層厚の相違が,植物体のカドミウム濃度および生育収量に影響を与える実態が明らかとなった.
  • 中野 拓治, 安元 純
    2012 年 80 巻 3 号 p. 253-260
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    連続流入間欠ばっ気活性汚泥方式の農業集落排水施設の窒素除去性能とその支配因子について,供用中の施設から得られた観測データを用いて考察した.窒素除去性能には,硝化・脱窒工程でのばっ気槽内の酸化還元電位が大きく関与しており,安定した除去性能を確保するためには,撹拌工程においては撹拌時間,ばっ気撹拌工程ではばっ気時間・ばっ気強度の適切な設定を通じて,ばっ気撹拌終了時は酸化状態に,また,撹拌終了時には確実に還元状態となるような運転・管理条件を保つことが重要であることが確認された.また,ばっ気槽内がばっ気撹拌終了時に好気状態(ORP値で100mV程度),撹拌終了時に嫌気状態(ORP値で-50~-200mVの範囲)が確保されている条件では,窒素除去は完全混合流による1次反応に従っているとともに,窒素除去率は,ばっ気槽内のMLSS,水温,ばっ気撹拌終了時DO濃度,水理学的滞留時間を説明変数とする双曲線関数式から推定できることが示唆された.
  • Yoshitaka YOSHITAKE, Masayuki FUJIHARA, Noriyuki KOBAYASHI, Tatsuro NI ...
    2012 年 80 巻 3 号 p. 261-266
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    This paper presents a model using the Dupuit approximation applicable to the case in which a small homogeneous earth dam constructed on inclined foundation in order to estimate the phreatic surface location and the seepage discharge through the dam. Analytical results obtained from the model are validated by comparison with the results obtained from a BEM model of the Laplacian field. Main results are as follows: i) The phreatic surface location of the analytical result of the model tends to be higher than that computed by the BEM, ii) The height of the seepage-out point obtained from the analytical result is almost identical with that by the BEM, and iii) The seepage discharge obtained from the analytical result is larger than that by the BEM; their ratio is between 1.113 and 1.243. From all results of the test cases, it is shown that these analytical results are useful for analyzing seepage through a homogeneous earth dam on inclined foundation.
  • 西村 拓, 石濱 嘉夫, 関 勝寿, 井本 博美, 溝口 勝, 宮﨑 毅
    2012 年 80 巻 3 号 p. 267-276
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    塩類集積が問題となっている中国東北部にある東北林業大学試験地において現地調査と1年間の観測を行った.現地の年降水量は356mmで,Thornsweit法で推定した夏季の可能蒸発量は540mm程度であった.土壌は軽埴土あるいは重粘土である.調査地では地下水位が浅いにも拘わらず土壌表層に塩類が集積する領域と塩類集積が無く植生のある領域が隣接してパッチ状に存在していた.浅層地下水位は,冬季から5月下旬まで凍土がある期間は降雨に応答しない一方,凍土の無い6月から8月の間,表層近傍の土壌水分が比較的高い時に,降雨深に対して7~12倍の地下水位上昇を示した.浅層地下水には,Na,Ca,Mgが7:3:2の割合で存在したが,塩類集積区では地表面に,塩の集積の無い植生区では深さ40cm以深にNaが選択的に集積していた.植物の根の呼吸による土壌CO2分圧の上昇に伴う炭酸塩の溶解や地下水位の上下動が現地の塩類集積状況に寄与している可能性が考えられる.
  • 斎藤 敬吾, 三沢 眞一, 吉川 夏樹, 佐藤 武信, 権田 豊, 宮津 進
    2012 年 80 巻 3 号 p. 277-282
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,河川魚道におけるサケの計数を目的として開発された電気伝導度方式による自動計数システム(魚カウンター)の計数原理を利用し,波付き管水田魚道を遡上するドジョウの自動計数システムの開発を試みた.室内および現地試験の結果,ドジョウ向けにセンサー部の配置を改良し,電圧を調整することで,波付き管水田魚道を遡上するドジョウを計数できることが確認できた.センサー部のビデオ撮影数と魚カウンターでの計数結果より,計数精度を求めた結果,現地試験による精度は86%であった.また,充電式のバッテリー(容量115Ah)と高分解能大容量データロガー(メモリ容量2GB)を用いることで,これまで研究事例がほとんどなかった電源確保が困難である現地水田での自動計数が実証できた.バッテリーを2つ並列にした場合,一度の満充電で79時間程度の連続観測が可能であることが確認できた.
  • 有田 博之
    2012 年 80 巻 3 号 p. 283-288
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    耕作放棄等によって中山間地域を中心に農地の減少は続いているが,国土の狭い我が国の食料自給にとって農地資源を適切に管理・保全することの重要性は増している.このため,労働環境としての農地の作業能率を向上させ維持管理を簡便化する耕地の区画整理の必要性は高い.しかし,事業実施の合意形成は困難であるほか,土地資源を有効活用するための計画制度もないため,長期的な農地資源保全は脆弱な環境におかれている.本論では,中山間地域における農地環境整備事業の事例検討をもとに,農地資源保全を可能とする耕地の区画整理の実施について考察し,生存権的土地利用及び農地管理区の概念を用いた広域に亘る計画的土地利用手法を提案する.
研究報文
  • 申 文浩, 佐藤 政良, 金 泰喆, 石井 敦
    2012 年 80 巻 3 号 p. 289-296
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    発展途上国では灌漑管理の効率性・持続性向上のため,参加型水管理の導入が図られている.一方,韓国,台湾,日本などの先進国では用水の公的管理強化が求められている.特に韓国では,1980年代に公的管理が進められ,2000年にはすべての水利費が廃止された.本研究は将来における公的管理のあり方の検討に資するため,韓国の公的管理導入の背景を明らかにし,公的管理の水管理への影響を忠清南道を例に分析した.その結果,①韓国の水利組合には政府関与の伝統があり,それが最終的に2000年の農業基盤公社による全面的な公的管理への移行を容易にした,②公的管理は広域的な水利調整を容易にするなどの効果をもった,③2000年の農民水利費負担の廃止と水管理の決定プロセスからの農民の排除によって,政府の意図と異なり農民の水管理への参加意識が失われた,ことを明らかにした.
  • 齊藤 政満, 田中 龍太, 高阪 快児
    2012 年 80 巻 3 号 p. 297-302
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    農地・水保全管理支払と農地整備の状況等の農業生産基盤の条件,集落営農や農地利用集積等との因果関係を明らかにするため,市町村データを用い,パス解析による分析を行った.その際,交絡因子と想定される市町村規模の影響について考慮し,2ケースの因果モデルを構築した.分析結果より,農地整備や地形・地勢等の農業生産基盤の条件が,本対策前の集落営農組織の形成や担い手への農地利用集積に影響を与え,これらが本対策の取組を規定する要因であることが検証された.また,本対策の取組が,その後の集落営農組織の形成や担い手への農地利用集積の促進に一定の効果をもたらすものであることが検証された.さらに,地域の都市化・混住化は,集落営農組織の形成や担い手への農地利用集積に対して負の影響を与え,これらへの影響を通じ間接的に本対策の取組に負の影響を与えることが検証された.
研究ノート
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