農業農村工学会論文集
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研究論文
手取川扇状地試験地における水田用水地区内還元水の分析
吉田 匡丸山 利輔能登 史和高瀬 恵次瀧本 裕士
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2012 年 80 巻 6 号 p. 499-506

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抄録

本研究は,急勾配・砂礫質の手取川扇状地における水田灌漑用水起源の地区内還元水について研究したものである.得られた結果は次のとおりである.(1)複雑な用排水系統を持つ水田地域に対して,灌漑用水からの還元水の分析方法を提案し,その妥当性・有効性を実測資料により検証した.(2)水源整備・圃場整備の歴史的経過を整理し,それ以前の水利用状況を想定して,具体的に当時の用水の過不足状況を分析した.(3)比較的潤沢な用水量を確保している本地域において,用水の反復利用を図っている理由は,水源整備・圃場整備以前の慣習を継承しているためと推定された.(4)現在でも集落営農等による集団転作の導入により,水利用の形態が大きく変わり,場所的・時間的に水利用が集中するため,多くの取水地点の存在や反復利用システムが有効に機能し,新たな視点から反復利用の有効性が推定できた.

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© 2012 公益社団法人 農業農村工学会
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