本研究は,幹線水路を用排水兼用で使用している水田用水の還元水分析法を提案し,手取川扇状地,七ヶ用水地区に適用した結果を述べたものである.用水系の幹線水路,取水堰,灌漑ブロック,これに対応した排水系の幹線水路,取水堰,排水ブロックのナンバーリングを工夫し,幹線水路への還元水量を計算したうえ,排水系の幹線水路,取水堰,排水ブロックなどの結合情報を昇順に並び替え,用水系に対応した排水系に整理し,用水の還元水の状況を分析する新たな手法を開発した.この方法を七ヶ用水地区に適用した結果,普通期の水利権水量の場合,地区全体の還元水量の割合は,取水量の59%,このうち反復利用が可能な還元水量は33%,残りの26%は最下流の堰より更に下流に流出,あるいは直接日本海に流出して,反復利用が不可能なことが見出された.