農業農村工学会論文集
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研究論文
クリンカアッシュの粒径組成が窒素吸着効果に及ぼす影響
山本 仁岡澤 宏竹内 康村上 由貴
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2013 年 81 巻 3 号 p. 223-228

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抄録

2001年に改正リサイクル法が制定され,石炭火力発電所から発生する石炭灰の一種であるクリンカアッシュにも適用された.クリンカアッシュは多孔質な物質であるため,水質浄化材としての利用が期待されているが,窒素に関する報告は極めて少ない.本研究では水田から流出する窒素の抑制を目的とし,カラム試験によりクリンカアッシュの窒素除去効果を検討した.本実験では,クリンカアッシュを水田排水のフィルター材として利用することを想定しており,クリンカアッシュの透水性が窒素除去に対する重要な要因となる.クリンカアッシュの透水性は粒径組成の指標であるD20で推定することができる.そのため,クリンカアッシュの粒径組成が異なる4種のカラムを作製し,窒素除去能との関係を検討した.その結果,どのカラムも実験初期にクリンカアッシュの窒素吸着能が高く,経過日数とともに効果が減少していくことが明らかとなった.また,クリンカアッシュの粒径が小さいほど,窒素吸着量は大きくなることが明らかになった.

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© 2013 公益社団法人 農業農村工学会
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