抄録
地中熱を熱源としたヒートポンプを用いた場合,地中の熱環境に変化が生じる.地中熱は地盤の強度や変形特性などに影響を及ぼす恐れがあると考えられる.この地盤は地中50mまでの層で,考えられる最大温度は50℃程度であり,不飽和土層を含む.本研究では,不飽和土を含む土の温度変化による力学的挙動への影響について検証するとともに,そのモデル化を試みる.人工シルトであるDLクレーを対象として,温度調節型三軸試験機を用いて,サクションおよび温度を変化させた一連の試験を行った.その結果,ピーク強度は温度依存性を示し,温度の低いものほど大きな強度を示した.しかし,Critical stateでの強度は温度の影響をほとんど受けなかった.弾性域では,温度の上昇と下降にともなって,それぞれ膨張と収縮が生じた.また,温度の影響を考慮した不飽和土も対象とした弾塑性モデルを定式化した.そのモデルでは,温度に対する二つの影響を考慮した.そのモデルを用いて本試験結果を考察した.その結果,本モデルは定性的にその力学的挙動を説明できた.