農業農村工学会論文集
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81 巻 , 5 号
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研究論文
  • 藤田 藍斗, 小寺 昭彦, Onur ŞATIR, Süha BERBEROĞLU, 長野 宇規
    2013 年 81 巻 5 号 p. 385-393
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    MODIS衛星画像から得られる時系列NDVIは,農地の作物フェノロジー解析や生産性評価に広く用いられている.ところが,空間解像度の低さからピクセル内に複数の地目や作目が混在するため,MODIS画像のみでは作物別の情報を得ることが難しいという問題があった.本研究では,高時間解像度のMODIS NDVI画像と高空間解像度のLandsat TM画像を組み合わせ,ミクセル分解モデルにより,トルコ中南部における灌漑地域の作物別NDVI季節変化を抽出した.推定結果をピュアピクセルの作物別NDVI季節変化と比較したところ,相対誤差は平均で0.05となり,現地の作付暦とも高い整合性が確認できた.また,作物係数計画値との間には,特に繁茂期において比較的強い線形関係(R2=0.74)が形成され,蒸発散の推定にもある程度は利用できることが示された.
  • 近藤 美麻, 伊藤 健吾, 千家 正照
    2013 年 81 巻 5 号 p. 395-402
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    新規に造成されたビオトープ池への魚類の移動に伴うイシガイの定着と再生産に着目し,それに寄与した宿主魚種を検討した.イシガイの宿主として適性をもつ魚種を明らかにするために行なった寄生実験では,対象とした12魚種のうち6魚種から稚貝が得られた.そのうち寄生幼生の稚貝への変態率はオイカワおよびヨシノボリ類で高く,それぞれ95.3%と88.1%であり,他の魚種では5%に満たなかった.また,過去に行なわれたビオトープ池におけるイシガイ幼生の寄生状況およびイシガイと魚類の生息状況の調査結果より,オイカワは現地における幼生の平均寄生数と寄生率も高く,生息数も多い魚種であったことから,ビオトープ池においてはオイカワが主な宿主としてイシガイの定着と再生産に寄与したと考えた.
  • 藤田 紀之, 東 淳樹, 服部 俊宏
    2013 年 81 巻 5 号 p. 403-410
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    岩手県盛岡市において,ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)およびハシボソガラス(C. corone)の生息分布と土地利用に対する選好性を明らかにするために生息確認地点を記録し,生息分布図の作成および生息確認地点と土地利用との関係を解析した.繁殖期,非繁殖期においてハシブトガラスは市街地や緑の多い住宅地を採食・休息環境として選好していたこと,ハシボソガラスは,水田を採食環境,市街地や緑の多い住宅地を休息環境として選好していたことを定量的に明らかにした.また,両種の生ゴミに対する依存度の違いが採食環境の違いに現れていることを考察した.市街地や農耕地の混在した地域では,両種の選好する採食環境が混在するため,両種が同所的に生息できるのではないかと考えられる.
  • JIRIGALA , 大西 健夫, 千家 正照, Shiirev-Adiya SAMDAN
    2013 年 81 巻 5 号 p. 411-417
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    モンゴル国東部ドルノド県を対象にして,五種畜(駱駝,馬,牛,羊,山羊)の斃死と気象要因の関係を分析した.まず,五種畜の頭数は主に社会・経済的要因によって長期的に変動し,斃死率は気象要因の影響を強く受けて短期的に変動している.さらに,各月の気象要因と斃死率の単回帰分析から,駱駝と馬の斃死率は冬季の気象要因による影響よりも夏季の気象要因の影響を強く受け,とくに,駱駝は夏季の低温多雨に,馬は夏季の低温によって斃死率が高くなることを明らかにした.一方,牛,羊,山羊は冬春季の気象要因の影響を受け,多雪になると斃死率が高くなり,また4月の融雪開始時期や10月の積雪開始時期に降水量が少ないと斃死率が高くなる傾向があった.この他,馬と羊と山羊は4月の低気温の影響を受け,暴風雪や砂嵐の起こりやすいこの時期に斃死率が高くなることを明らかにした.
  • 藤澤 和謙, 有本 慎一, 村上 章
    2013 年 81 巻 5 号 p. 419-428
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    多孔質体中の浸透流と流体のみが占める領域での流体挙動を連続的に把握することには幅広い応用性がある.本論文が提案するのは,これら二つの流れを一つの支配方程式によって同時に数値解析を行う手法である.著者らが注目する支配方程式はDarcy-Brinkman式である.本論文では,この方程式が間隙率と透水係数の値を変えることで,Navier-Stokes式とDarcy流の両方を解くことができることを示し,その数値解析手法と解析例を提示する.数値解析手法には,空間離散化に有限体積法を用いた非圧縮性流体の数値解法を採用し,安定的な解を得るための流速と圧力の計算方法を提案する.安定計算を行うための要諦は,流れの様子が急激に変化する多孔質体と流体領域の境界における変数の内挿方法にある.提案手法を用いて多孔質領域と流体領域の両方を有する1次元流れと2次元キャビティ流れをシミュレートし,本手法によって安定した解が得られることを確認する.
  • 向後 雄二, 斎藤 広隆, Win Win PYONE
    2013 年 81 巻 5 号 p. 429-437
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    地中熱を熱源としたヒートポンプを用いた場合,地中の熱環境に変化が生じる.地中熱は地盤の強度や変形特性などに影響を及ぼす恐れがあると考えられる.この地盤は地中50mまでの層で,考えられる最大温度は50℃程度であり,不飽和土層を含む.本研究では,不飽和土を含む土の温度変化による力学的挙動への影響について検証するとともに,そのモデル化を試みる.人工シルトであるDLクレーを対象として,温度調節型三軸試験機を用いて,サクションおよび温度を変化させた一連の試験を行った.その結果,ピーク強度は温度依存性を示し,温度の低いものほど大きな強度を示した.しかし,Critical stateでの強度は温度の影響をほとんど受けなかった.弾性域では,温度の上昇と下降にともなって,それぞれ膨張と収縮が生じた.また,温度の影響を考慮した不飽和土も対象とした弾塑性モデルを定式化した.そのモデルでは,温度に対する二つの影響を考慮した.そのモデルを用いて本試験結果を考察した.その結果,本モデルは定性的にその力学的挙動を説明できた.
  • 近森 秀高, 永井 明博
    2013 年 81 巻 5 号 p. 439-451
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    農地排水計画や水工計画に必要な確率雨量を推定する際,観測期間が短い場合や,近年の気候変動を考慮しなければならない場合は,極値解析に利用できるデータ数が限られるため,推定値に十分な精度が確保できない恐れがある.このような場合の対策の一つとして,降雨特性の類似した複数の観測点におけるデータを用いて統計解析を行う地域頻度解析法(regional frequency analysis)の利用が考えられる.本研究では,地域頻度解析法を日本全国155カ所の雨量観測点における30年間の年最大日雨量データに適用して100年確率日雨量の推定を行い,従来法である地点頻度解析法による推定値との比較により,その実用性について検討した.その結果,地域頻度解析に先立って行われた年最大日雨量に基づく地域分類の結果は,洪水比流量曲線適用のために提案された地域分類に類似していること,地域頻度解析による確率日雨量の推定結果は,地点頻度解析と同様であること,bootstrap法による検討の結果から地点頻度解析法よりも推定値の信頼区間が小さく不確定性が低いことが示された.
研究報文
  • 岡田 竜洋, 眞家 永光, 長崎 勝康, 柿野 亘, 蛯名 秀樹, 富桝 朗充, 角 勇悦, 嶋 栄吉
    2013 年 81 巻 5 号 p. 453-461
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,青森県の小川原湖における底質の全炭素(TC),全窒素(TN),全リン(TP)の分布を明らかにするとともに,底質の汚濁程度が異なる場所での底生動物群集の比較を行った.その結果,①湖底におけるTNとTPの分布は異なり,TNは水深の深い湖中部で高い一方,TPは,主要流入河川が流入する湖南部で高い値を示した.②底生動物群集の優占種の分布は湖北部・中部と湖南部で有意に異なり,湖北部・中部ではシジミが,湖南部ではイトミミズが優占していた.③湖北部・中部と湖南部では底質の粒径組成と各サイズにおけるTN含量が異なっており,その要因として,易分解性有機物の流入による底質汚濁の影響があげられた.以上から,小川原湖における底生動物群集は流入河川から負荷される富栄養化原因物質による底質汚濁の影響を受けていることが示唆された.
  • 米倉 英史, 近藤 文義
    2013 年 81 巻 5 号 p. 463-470
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    ジオポリマー作製において使用する火力発電所から産業廃棄物として出されるフライアッシュ(石炭灰)は,種類によって低強度のジオポリマーとなる.そのフライアッシュ(松浦JIS灰)に製鉄所の副産物として発生する高炉スラグ微粉末を添加することにより強度は著しく向上し,圧縮強度が最大になったのは,松浦JIS灰:高炉スラグ微粉末を8:2として作製したM8S2ジオポリマーであった.次に,冬季に作製したM8S2ジオポリマーの圧縮強度は,夏季作製の場合の強度を超えることがなかったことから,約20℃以上の場合にM8S2ジオポリマーは強度向上が顕著になることが明らかとなった.また,本論ではM8S2ジオポリマーの圧縮,引張,曲げ強度および化学組成,SEM観察から,強度向上について考察した.
  • 北村 立実, 吉尾 卓宏, 黒田 久雄
    2013 年 81 巻 5 号 p. 471-477
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    霞ヶ浦湖岸沿いには水田が広く分布し,これらの地域では,昼間は地区排水と霞ヶ浦湖水を混合して灌漑し,夜間は霞ヶ浦に排水する灌漑排水システムをとっている地区が多い.そこで,2009年に夜間の排水を堤脚水路に貯留し再利用する循環灌漑を実施し,循環灌漑による負荷削減効果を検討した.さらに2010年に堤脚水路の底泥を浚渫し,再び循環灌漑を行い,底泥浚渫後の循環灌漑による負荷削減効果を検討した.その結果,晴天日では循環灌漑によって霞ヶ浦への負荷を抑制することができた.しかし,降雨によって霞ヶ浦への流出負荷量が増加する傾向が見られ,堤脚水路に負荷が蓄積していることが考えられた.堤脚水路の底泥を浚渫した後の循環灌漑では,T-Pに関して負荷の減少が顕著に見られ,差し引き排出負荷量は浚渫前で- 0.3 g・ha-1・d-1であったが,浚渫後は- 6.4 g・ha-1・d-1となった.
  • 鈴木 哲也, 久保 成隆, 飯田 俊彰
    2013 年 81 巻 5 号 p. 479-487
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
    パイプランの効果的な維持管理には,管材損傷に加えて水撃圧に代表される圧力波の検出が不可欠である.本報では,AE(Acoustic Emission)法と画像解析による圧力波の非破壊検出について検討した結果を報告する.実験的検討の結果,圧力波は制水弁閉塞時間を0.40~10.48sに調整したモデルパイプラインにおいてAE法と画像解析で検出された.圧力波のAE発生挙動は,水圧の最大値と関連し,AEパラメータにより評価可能であることが明らかになった.デジタル画像相関法(DICM)により画像解析を行った結果,最大水圧と管体変位量に関連性が確認された.これらの結果から,発生した圧力波はAE法や画像解析により検出可能であることが示された.
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